■乳酸の本当の役目
乳酸は、運動すると一時的に上がり、いくらかの時間が経つと自ずと下がっていく物質です。
以前は、これが疲労の原因物質名のではないかと言われていましたが、
現在の新理論では乳酸はむしろ疲労を和らげてくれる物質で、
エネルギーが足りないところを補ってくれる物質という考えを持っています。
血中の乳酸は、運動するにしたがい時間を追うごとに増加しそうなものなのですが、
二時間のあいだ運動を続けると運動前と同じくらいに乳酸値が低下していました。
運動開始30分までは乳酸が増加しますが、30分を過ぎると乳酸値は減少し始めます。
体を動かすために必要なエネルギーの大元は食事からとる炭水化物です。
炭水化物は分解されて糖に変わり、更にアセチルCoAといわれるエネルギーを生み出す重要な物質に変化します。
このアセチルCoAはエネルギーを作り出す上でとても重要な役割を果たします。
運動などに使われるエネルギーは、クエン酸サイクルといわれるサイクルによって作り出されています。
大まかに説明すると、クエン酸がいくつかの段階を経て、オキザロ酢酸に変化し、
ここにアセチルCoAが来るとオキザロ酢酸と結合し、新たにクエン酸が作り出されます。
そして、サイクルが繰り返されエネルギーを作るのです。
このサイクルをクエン酸サイクルまたは、TCA回路、クレブス回路ともいいます。
エネルギーを作り出すには、クエン酸サイクルが正常に動かなければならないのですが、
アセチルCoAが必要不可欠であり、運動を続けるとアセチルCoAの需要が高まり、
続けているうちに不足してしまいます。
アセチルCoAは運動することによって糖が変化して得ることができますが、
糖がアセチルCoAに変化するとは別に、糖は乳酸に変化します。
運動を続けることによってアセチルCoAの供給が止まってしまうと、
アセチルCoAに変わって乳酸がアセチルCoAの役目を果たします。
乳酸はアセチルCoAに変化し、オキザロ酢酸と結合してクエン酸となって
エネルギーを作り出すクエン酸サイクルを維持します。
運動することによって乳酸が溜まり初めてしまうのは、アセチルCoA不足を補うための準備なのです。
乳酸は、体を動かすために必要なクエン酸サイクルを維持するために必要な成分なのです。
また、運動30分後に乳酸が減り始めるのは、
乳酸がアセチルCoAに変わってクエン酸サイクルに入り始めたためです。
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